マーケティングを学び直す
中央大学MBAエッセンシャル講義のレビュー
社内で有料研修を奨励する制度が立ち上がったので、それを機会に利用してみました。
期待通り、有意義だったので、書き残しておこうと思います。
(こういう学びは、実践現場で使わないともったいない!まずは振り返り。)
特に基本に立ち戻って整理しなおすことで、新たなアイデアを生み出す基盤になるのではないかと期待して参加しました。
『中央大学ビジネススクール―MBAのエッセンシャル講座』
ビジネススクール入学を検討されている方に対して、文字通りエッセンスを伝えることが狙いで用意されている、田中洋教授による全三回の講義でした(第一回:「マーケティング入門」 、第二回:「流通と商品開発」 、第三回:「消費者とブランド」 )。内容は、マーケティングの基礎を学ぶといったものです。■講義レビュー
参考になったことを自分なりの視点もふまえて、書き残しておきたいと思います。
20名くらいの参加者で、さまざまな業種、年齢層の方でした。最初に自己紹介、途中で質問タイムがあるのですが、同じテーマであっても、受け取り方など視点が幅広くなるので、このような学びの場は貴重だなと思いました。
また、教授の軽やかな語り口で、次々と紹介される事例がとても分かりやすく、参考になりました。
世の中にある企業や製品、広告について、 教授の捉えた視点で語られましたが、客観的にビジネスの現場で使えるポイントを押さえていました。整理すべきフレームに適切に落とし込んでいるという印象を受けました。
マーケティングの基本知識は、書籍で読んで、現場でもそれなりに使っているつもりですが、改めて、体系的に学んでみると、新たな気づきや発見があります。
1)マーケティングとは?
王道ですが、ピーター・ドラッカーによる「マーケティング」にまつわる定義が紹介されました。もしドラで一般的にも有名になったドラッカーの提言は、以下の通り。
「企業の目的の定義はひとつしかない。
それは、顧客を創造することである。」
「したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。
マーケティングと、革新(イノベーション)である。
マーケティングと革新だけが成果を生む。
その他の機能はすべて、費用であるにすぎない」
『マネジメント』の書籍はもともと読んでいたので、基本だよねと思いながらも、あらためて読んでみると非常に興味深い。特に「その他の機能はすべて費用(コスト)にすぎない」という断定的な言い方が、その前の二つの重要性を強調していると思います。
「実際のところ、販売とマーケティングは、正反対である。
同じ意味でないことはもちろん、補い合う意味さえ持たないのである。
マーケティングの目標は販売を不要にしてしまうことである」
これは、「マーケティング部」と「営業部」の役割を改めて考え直す必要がある企業もあるのではないかと示唆されます。マーケティング的な何かをしようとしていても、販売をしているケースもあるのではないかと思います。
革新を生み出し、マーケティングをする。販売を不要にするほどの成果を出す仕掛けを作れると強い組織になれると、改めて意識を持ちました。
また、別途、問題解決、価値創造、関係構築という要素が「マーケティングの役割」に整理されるというのは、改めて勉強になりました。
講義では冒頭で、「キヤノンの失敗」と題して、「シンクロリーダー」という製品にまつわる教訓が語られました。技術的に優れた製品でも、市場のニーズを捉えていなかったために、販売方法も製品自体も適切なものではなく、結果的に売れなかったというもの。
※最終的には、その後の別製品販売時に、下地となったため「結果オーライ」だったという副産物があったことを補足。
2)マーケティングが必要な理由
マーケティングの起源をさかのぼってみると、おそらく太古から必要性はあり、自然にやっていたケースもあるのかもしれないが、特に、現代市場は、供給が需要を上回っていたり、競争激化や消費者ニーズの潜在化などがあって、複雑性を増している。そのために、マーケティングの必要性は非常に高まっているといえる。田中教授は、アップル社の躍進とソニーの業績悪化を対比されていました。
アップル社のジョブズは、「顧客の意見を聞くことは不要と言ったと伝えられている」らしいです。それでも、消費者の心を捉えて、世界の代表的な企業へと超躍進をしている。
ジョブズは極めてユーザー思考で、UIを工夫したり、広告メッセージを打ったり、人の心を捉える能力がきわめて高く、それをマネジメントする威勢もあったと言えます。 誰もがジョブズのような慧眼を持っているわけではない。だからこそ、マーケティング思考が重要となると語られたのが印象的でした。
3)マーケティングの基本
これも王道ですね。4PとSTPについて。
【4P】
Product(製品)
Price(価格)
Place(流通)
Promotion (広告・プロモーション・コミュニケーション)
【STP】
S=Segmentation (市場細分化)
T=Targeting (標的市場の決定)
P=Positioning (ポジショニングの決定)ここでも、さまざまなケースが紹介されました。
Price戦略では、ローソン100、ZOFFリーズナブルな眼鏡、スリープライスオンリーのスーツ店など。
Placeでは、掃除ロボットのルンバがはじめはおもちゃ屋で販売されてしまったという悲しい逸話も。
セグメンテーションについては、改めて整理しなおしてみると、現在業務でかかわっている「アクセス解析」で活用できるなと思いました。基本に立ち戻ることが、革新を生み出すことにつながるということを思います。Webマーケティング市場では、次々と新しい技術や新しい手法が生まれますが、基本的な考え方や使い方は、本質的には王道・基本に立ち戻ることが重要だと思います。
※このあたりは、改めて整理したいと思います。
●ケーススタディ: サントリー伊右衛門
生活者視点に立ったら、「お茶」が与えるベネフィットが見えてきた、というコンシューマインサイトの事例が挙げられました。
「お茶」ブランドは、「せんみつ」といって、千に三つしかヒットしないと言われている。
2001年当時、お茶市場は「おーいお茶」が席捲しており、一方、サントリーは製品を出しても、鳴かず飛ばず状態だった。味もデザインも中途半端で顧客に響かず、「片手間で出した製品」と捉えられて、「ウイスキー工場の片隅で作られている」といった印象しか与えられていなかったという。
当初、平面的なポジショニングマップを作っていたが、それでは、競争地位はわかるが顧客価値観点が抜け落ちてしまっていたという。そこで、生活者視点に立って製品開発をし直した。
「お茶」とは?というお題に対して、禅問答のように問い直したところ、さまざまなものが浮かび上がってきたという。
ここでの問いと顧客の声が、革新を生み出すダイヤモンドの原石になった。
例題) お茶とは?
・「お茶を飲んだことのない外国人にどうやってお茶を説明しますか?」
・「もし明日から国会でお茶を飲むのを禁止する法案が可決されるとしたら、あなたは何と言いますか?」
・「本格的なお茶はそうでないお茶とどこが違うと思いますか?」
回答) お茶とは?
・「日本の文化」である
・「安心」を与えるものである
他にも「お茶が作られているのはどこだと思いますか?」という問いに対して、伊藤園は、契約農家などが連想されたのに対して、サントリーでは「ウーロン茶工場のとなり」など乏しい見解だったという。
最終的に、本格的なお茶を製品化するにあたり、1970年創業の伝統的かつ技術力の高い福寿園と契約し、「百年品質、上質緑茶」というコンセプトを打ち立てた。
その後の、コミュニケーション戦略では、ターゲットを社会人男性とし、彼らが潜在的にニーズとしていることを探りだした。
「安心」というテーマから連想される調査として、「へこんだ精神状態のときに誰に何を言ってもらいたいか?」という問いに対して「妻」を挙げる声が多かったという。
ここから、広告キャラクターでは、宮沢りえと本木雅弘が起用され、純日本的な世界観のなかで、「あんさん、どこにいっとったの?」といいながら、伊右衛門の筒型デザインのペットボトルを手渡すというCMが出来上がった。
・他バージョン
宮沢「あれっ、傘はどないしはったん?」本木「傘?あぁ・・・あったなぁ・・・」
宮沢「ほんまにもう。」「ぅわぁ。冷たい手ぇ。」「こども。」
この世界観が好評かつ強化するため、コミュニケーション戦略としてお茶会を京都で開催している。
Webサイトでイベント開催風景を伝えることで、二次利用的にメッセージを強めている。
コンシューマインサイトの導き出し方はさまざまな方法がある。読み取り方のセンスが問われる。単なるアンケートデータからも、データとデータの間にある行間を汲み取ってひとつの見解を導き出す。
●ビジネススクールで学ぶケーススタディの真意
ビジネススクールでは、ケーススタディが主軸になると聞いたことがあります。
はじめに課題があり、どのように解決をしたのか、最終的にどうなったのか。また、その場にいた人は何を考えて、判断したのかということが語られます。
成功事例にも失敗事例・教訓にも、それぞれがひとつの物語となっていて、ドラマがあり、苦労あり、涙あり、というものなのだなと感じました。
市場には、隠されたルールがあり、それを見つけて活用したものが、成功に近づけるということだと思います。とはいえ、隠されたルールは、複雑に絡み合う要素の中で、本当に見えづらいものとなる。そのルールをできるかぎりケースを持って、体系化して、実践できるように学ぶというのが、ビジネススクールの意義なのではないかと思いました。


【調査結果】Facebookファンの顧客価値の高さとその重要性―【私の論評】何か、これって、当たり前といえば当たり前でないか?
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こんにちは。facebookページでは、「いいね!」を増やすために、様々なことが行われています。これが、顧客価値を高めることに繋がれば良いのですが、インセンティブなどを用意しておき、「いいね!」ボタンを押すと、それが得られるなどというものもあります。しかし、このようにしてむやみに「いいね!」ボタンを押すように仕向けても、あまり意味はありません。顧客価値を高めることが本筋なのであって、これを軽視して、顧客の反応を増やしても意味はないということです。しかし、現実には、マーケティングと称して、これに近いようなことが行われている事が多いのだと思います。ドラッカー氏のいうマーケティングは、本当に理解しやすいです。私のブログでは、具体的な事例をあげつつ、これを解説してみました。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。